25.02.28
企業にとって、BCP(事業継続計画)対策は、非常時においても事業を継続するための重要な取り組みです。しかし、BCP対策を策定しても、実際に運用できなければ意味がありません。
今回は、BCP対策におけるよくある失敗例と、その対策について解説します。
多くの企業がBCP対策に取り組んでいますが、以下のような落とし穴に陥りやすい傾向があります。
BCP対策を単なる防災対策と捉え、事業継続という視点が欠けている。
BCP対策の内容が従業員に周知されておらず、訓練も不十分なため、いざという時に機能しない。
BCP対策が策定された当時の状況から変化しているにも関わらず、見直しが行われていない。
ITシステムが停止した場合の対策が講じられていない。
データ保管場所が集中しているため、災害時にデータが消失するリスクがある。
具体的な失敗例として、以下の3つのケースを紹介します。
A社では、BCP対策として避難経路や安否確認方法、在宅勤務体制などを整備していましたが、従業員への教育・訓練が不足していました。その結果、非常時に避難経路が混乱したり、在宅勤務がスムーズに移行できなかったりといった問題が発生しました。
B社では、担当責任者しかBCP対策の内容を把握していませんでした。災害発生時、担当責任者と連絡が取れなくなり、現場の社員が独断で業務を停止してしまいました。結果的に、事業継続が滞ってしまう事態となりました。
C社では、ソーシャルメディアで自社に関するネガティブな情報が拡散された際、公式サイトで情報を開示しましたが、社員の不安や不信感を払拭することができませんでした。社員の動揺が広がり、顧客からの信頼を失う事態に発展しました。
BCP対策を成功させるためには、以下の点が重要です。
事業継続という視点を持ち、BCP対策の目的を明確にする。
BCP対策の内容を従業員に周知し、定期的な訓練を実施する。
状況の変化に合わせて、BCP対策を定期的に見直す。
ITシステムが停止した場合の対策を講じる。
データを分散して保管し、災害時のデータ消失リスクを軽減する。
非常時における社員の不安や不信感に配慮し、適切な情報共有やコミュニケーションを図る。
BCP対策は、企業にとって重要な取り組みですが、策定するだけでなく、実際に運用できる体制を構築することが重要です。本稿で紹介した失敗例とその対策を参考に、自社のBCP対策を見直し、より実効性のあるものにしてください。
より成熟したBCP対策のためには、専門家のアドバイスやITシステムの導入も検討しましょう。