×
無料ダウンロード資料のご案内
  • インターネットVPN
  • 運用保守サービス
  • 中小企業のBCP策定を支援する税制優遇制度
    「中小企業強靭化法」とは

    はじめに

    中小企業がBCP(事業継続計画)を策定する際、費用面での負担を軽減できる税制上の優遇措置があることをご存知でしょうか?
    今回は、中小企業強靭化法に基づく税制支援や、国がBCP策定を支援する理由、BCP策定によって得られるメリットについて解説します。

    中小企業強靭化法とは

    中小企業強靭化法は、2019年7月16日に施行された法律で、中小企業のBCP策定を支援する制度が盛り込まれています。

    BCP策定支援制度

    この法律の最大の特徴は、BCP認定制度によって、中小企業が国からの支援を受けられることです。中小企業が自社のBCPを国に提出し、その内容が適切であると認められれば、財政的・非財政的援助を受けることができます。

    税制優遇・金融支援

    BCP認定制度で認定を受けた企業は、主に以下の優遇・支援を受けることができます。

    税制上の優遇措置

    中小企業等が経営力を向上させるための取り組みを支援する「中小企業等経営強化法」に基づく計画が認定された場合、特定の設備を取得または製造した際に、税制上の優遇措置を受けることができます。具体的には、以下のいずれかを選択できます。

    即時償却

    取得した設備の費用を、取得年度に全額経費として計上できます。

    税額控除

    取得費用の一定割合を、その年度の税額から控除できます。控除割合は、資本金額等に応じて異なり、原則として10%、資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%となります。
    この制度を活用することで、中小企業等は設備投資にかかる税負担を軽減し、経営力の向上を図ることができます。

    ※毎年3月の年度末を期限としております。年度ごとに控除額が変更する場合があります。
    制度を利用する際には、中小企業庁の中小企業経営強化税制から最新情報をご確認ください。

    金融支援

    ・BCPに必要な資金における日本政策金融公庫からの低利融資
    ・信用保険の別枠付保など

    補助金

    中小企業庁が所管する補助金採択に加点される

    支援を受けるための条件

    支援措置を受けるためには、BCPに経済産業大臣が定める以下の内容を盛り込んで申請し、認定を受ける必要があります。

    ・自然災害が事業に与える影響の想定
    ・体制の構築
    ・事前対策(初動対応、取引先との連携、復旧手順の策定など)
    ・事前対策の実効性確保(定期的な訓練、計画の見直しなど)

    経済産業大臣から認定された後は、受けたい支援措置に応じた手続きが必要です。

    国がBCP策定を支援する理由

    国が中小企業のBCP策定を支援するのには、以下の理由があります。

    大規模災害による事業停止を防ぐため

    大規模災害が発生すると、多くの企業が事業を停止し、倒産に至るケースもあります。東日本大震災では、宿泊業、木造建築業、貨物運送業、製造業、酒造業、食品製造業など、様々な業種で倒産事例がありました。
    これらの企業が倒産に至った原因の一つとして、BCPが適切に発動しなかったことが挙げられます。国はこのような事態を防ぐために、中小企業のBCP策定を支援しています。

    設備買い替えなどの出費を抑えるため

    災害で破損した機器の買い替えや建物の修復には、多額の費用がかかります。東日本大震災で全壊した住宅を建て直すには、2,500万円程度の費用がかかったと言われています。
    工場や事務所となると、さらに高額な費用がかかるケースも珍しくありません。補助金や税制上の支援によって、これらの負担を軽減することができます。

    BCP策定によって得られるメリット

    BCPを策定することによって、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか?

    事業の継続・信頼度向上

    BCPを策定すると、企業は被災時にも事業を継続しやすくなります。たとえ大きな被害を受けても、事前対策や復旧手順を策定しておけば、事業が停止する時間は最小限で済むでしょう。
    また、このような対策をしていることは、企業の信頼度向上にも役立ちます。顧客や関連企業からの信頼を得ることは、取引量や売上の増加に貢献するでしょう。
    さらに、BCP策定は自社の状態を客観的に把握する機会にもなります。BCPを策定するには、自社の中核事業やそれに必要な資材などを見直す必要があります。自社の強みと弱みを再確認することは、経営方針の決定などに役立つでしょう。

    後継者の保護・育成

    企業が倒産する理由の一つに、後継者不足があります。後継者には、企業や社会を俯瞰できる知識や能力が必要です。しかし、社長が高齢化したときにそのような人材が社内におらず、事業の存続が難しくなるケースがあります。
    BCP策定は、人材の育成にも有益です。適切にBCPを策定するには、社内のリソースや経営状況を洗い出す必要があり、それが後継者の育成に役立ちます。

    まとめ

    中小企業がBCPを策定する際には、中小企業強靭化法を利用することで、国の支援を受けることができます。
    BCPを策定して申請し、必要な手続きを行うことで、税制上の優遇や金融支援を受けることができます。BCPを策定すれば、自社の信頼性を向上させられるだけでなく、後継者育成にもつながります。
    ぜひ、この記事を参考にしてBCPを策定し、安定した事業継続を目指してください。


    関連記事