25.04.04
事業継続計画(BCP)を策定する際、どのようなリスクに備えるべきでしょうか。想定されるリスクは広範囲に及ぶため、どこから着手すればよいか迷う方も多いでしょう。
この記事では、BCPにおいて考慮すべきリスクの種類、優先順位の決定方法、そして実際の運用プロセスについて解説します。緊急事態への備えを万全にし、企業の資産を保護しましょう。
BCPは「Business Continuity Plan」の略称で、事業継続計画と訳されます。これは、緊急事態が発生した際に事業を迅速に復旧・継続するための計画です。
例えば、大規模な地震が発生した場合、建物の倒壊やインフラの停止が起こり、従業員の参集が困難になることが考えられます。このような状況下で、従業員との連絡手段、復旧の優先順位、代替拠点の利用などを事前に定めておくのがBCPの役割です。
BCPを策定することで、緊急時における事業の停止期間を最小限に抑え、顧客や取引先への影響を軽減できます。また、日頃からBCP対策を徹底しておくことは、関係企業や顧客からの信頼獲得にもつながるでしょう。
近年、地震や台風による甚大な被害が頻発しています。しかし、BCPで対策すべきリスクは自然災害に限りません。外部からの攻撃や、企業内部に起因する問題も考慮する必要があります。
主な自然災害には、以下のようなものがあります。
特に、日本は地理的な特性から地震が発生しやすく、過去には東日本大震災のような大規模な被害も経験しています。将来的に首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生も懸念されており、これらの災害への備えは不可欠です。
自然災害以外には、外部からの攻撃によるリスクと、企業内部に起因するリスクが考えられます。
サイバー攻撃や風評被害などの意図的な攻撃だけでなく、取引先の倒産など、予期せぬ事態もBCPの対象となります。
商品の欠陥や情報漏洩は、顧客や関係者からの信頼を大きく損なう可能性があります。また、ストライキや重要な人材の退職は、事業の継続を危うくする事態につながることもあります。
BCPで想定すべきリスクは多岐にわたり、全てのリスクに十分な対策を講じることは困難です。そこで、リスクに優先順位をつけて可視化するリスクマップが役立ちます。
リスクマップは、縦軸に企業への影響度、横軸に発生頻度を設定したマトリクスです。洗い出したリスクをこのマトリクスに配置します。
例えば、大規模なテロは甚大な被害が想定されますが、発生頻度は低いと考えられます。一方、サイバー攻撃はテロほどの被害はないものの、発生頻度は高く、日常的な対策が必要です。
このように、影響度と発生頻度の2つの観点からリスクを分析し、両方の度合いが高いものから優先的に対策を検討します。
次に、社内でBCPに関する理解を深めるための教育を行います。具体的な教育方法としては、以下のようなものが考えられます。
対策すべきリスクに応じて、適切な教育方法を選択します。例えば、サイバー攻撃対策として情報管理に関する教育を行う場合は、eラーニングが有効です。一方、自然災害に備えて救命救急法を学ぶ場合は、研修やセミナーが適しています。
BCP教育で重要なのは、一時的な研修で終わらせず、日頃から意識すべきこととして社内に定着させることです。
教育で知識を得ても、緊急時に従業員が適切に対応できなければ意味がありません。そのため、定期的な訓練が必要です。BCP訓練は、以下の5つの種類に分類されます。
計画内容を机上で確認し、対応の妥当性を検討する。研修
緊急時の連絡手段を確認する。
代替拠点への移動や事業再開の手順を確認する。
バックアップデータの復旧手順を確認する。
BCP発動から復旧までの一連の流れを確認する。
リスクマップに基づき、優先度の高いリスクに対する訓練を定期的に実施しましょう。
BCPは、企業が緊急時に事業を継続するための重要な計画です。自然災害だけでなく、人為的なリスクも考慮する必要があります。リスクマップを活用し、以下の手順でBCP対策を進めましょう。
これらの対策を通じて、適切なリスクマネジメントを行い、企業の持続可能性を高めましょう。