25.04.18
IT関連業務や改善策を外部に委託することで、業務量の削減や、社内のリソースを主要な業務に集中させることが可能になります。しかし、委託先の選定を誤ると、予想以上に費用がかかったり、期待した成果が得られなかったりするリスクも存在します。
本記事では、ITアウトソーシングの概要、そのメリットとデメリット、導入時の注意点などを解説します。今後のご検討の参考としていただければ幸いです。
ITアウトソーシング(ITO:Information Technology Outsourcing)とは、企業がITに関連する社内業務を外部の専門業者に委託することを指します。
委託できる業務は多岐にわたり、システムの開発・設計から、サーバーの保守管理、トラブルシューティングといった運用管理業務などが挙げられます。専門的な業務を外部に委託することにより、社内の他の業務の生産性向上や効率化に貢献することが期待できる点が、大きな利点の一つです。
ITアウトソーシングは、委託する内容によっていくつかの形態に分類できます。ここでは、その主な種類について解説します。
IT部門のほぼ全ての業務を外部に委託する形態です。委託元が企画立案のみを行い、その後の業務を全て外部に委託することもあれば、企画段階から外部に委託することもあります。
社内のサーバーやOSなどの保守・管理を外部に委託する形態です。システム全体のメンテナンスやセキュリティ対策も委託するケースがあります。
自社で使用するサーバーや関連機器を、外部のデータセンターやベンダーの施設に設置する形態です。外部に設置することで、様々なトラブル発生時の対応を設置先の専門業者に委託できます。
外部の事業者が提供するサーバーを借りて利用する形態です。保守管理は自社で行う場合と、全て委託先が行う場合があります。
ITアウトソーシング事業者の技術者を企業に派遣し、常駐して様々なサポートを行う形態です。システム上の問題解決やトラブル対応などをリアルタイムできめ細かく支援します。
顧客からの問い合わせや苦情対応などを外部業者に委託する形態です。煩雑な電話やメール対応を委託することで、社内リソースを主要な業務に集中させやすくなります。社内システムに関する従業員からの問い合わせに対応する社内ヘルプデスクの委託も可能です。
ITアウトソーシングは、企業が抱える課題解決に貢献できるサービスとして注目されています。その背景には、以下の要因が挙げられます。
経営資源を効率的に活用するため、コスト削減が求められています。IT部門はコストがかかりやすい部門の一つと認識されており、外部委託によるコスト削減効果への期待が高まっています。
IT部門の業務は専門的な知識やスキルを必要とするものが多く、人材育成にコストと時間を要します。ITアウトソーシングを利用することで、人件費を抑制しつつ専門的な業務を外部に委託できるため、従業員がコア業務に集中できる環境を構築し、業務効率の改善を図ることができます。
ITアウトソーシングの活用は、企業にとって多くの利点をもたらします。ここでは、主な3つの利点を紹介します。
IT関連業務が企業の主要な業務でない場合、そこに社内リソースを投入することは非効率であり、負担も大きくなります。IT関連業務を外部に委託し、収益に直接貢献する主要な部門にリソースを集中させることで、より効率的な企業活動を推進できます。
ITアウトソーシングを提供する業者は、様々なITトラブルに対応できる専門家集団です。自社で対応するよりも効率的に問題を解決できる可能性が高く、結果的にコストを抑えることができます。また、IT関連の問題に対応できる人材を自社で雇用する場合に発生する人件費などの固定費を削減し、必要な時に必要なサービスを利用することで、コスト効率を高めることができます。
IT技術は急速に進化しており、企業は常に最新の技術動向に合わせて、システムやセキュリティ体制を整備する必要があります。ITアウトソーシングを活用することで、自社に最適なシステムを提案してもらい、最新技術に対応したメンテナンスやセキュリティ対策を講じることが容易になります。
ITアウトソーシングには多くの利点がある一方で、技術的なノウハウの蓄積、コスト、セキュリティといった面で注意すべき点もあります。ここでは、主な3つの留意点を紹介します。
特に、フルアウトソーシングを頻繁に利用すると、社内にIT関連の技術や知識が蓄積されにくいという課題が生じます。自社のシステムを担当する社員に専門知識が浸透せず、ITリテラシーの向上を妨げる可能性があります。ITアウトソーシングを活用する際には、システムや保守運用の内容、対応方法などを記録し、社内でノウハウを蓄積できるような体制を整えることが重要です。
ITアウトソーシングの導入にあたっては、プロジェクトによっては準備や調整に時間を要する場合があります。また、本来委託を希望しない範囲までサービスがパッケージ化されていることもあり、その分のコストが余分にかかってしまうことがあります。自社に必要な業務範囲を明確にし、それに対応できる委託先を選定することが重要です。
自社の機密情報を含む様々なデータを外部の業者に共有することになるため、情報漏洩やデータ流出のリスクは避けられません。委託先のセキュリティ対策や実績などを事前に十分に確認することが重要です。また、共有する情報の範囲を慎重に検討し、責任の所在を明確にしておく必要があります。
ITアウトソーシングの活用において、いくつかの失敗事例が見られます。ここでは、主な失敗パターンについて解説します。
委託先の選定は、アウトソーシングの成否を左右する重要な要素です。委託範囲や内容、求める人材のスキルなどを委託先に十分に伝えていないと、実際に業務が開始した際に期待と異なる結果になる可能性があります。また、長年の付き合いがある業者に依頼した場合でも、スキル不足や連携不足によりスムーズに業務が進まないこともあります。アウトソーシングの目的を明確にし、それに合致した委託先を選定することが不可欠です。
外部に委託したからといって、全ての業務を丸投げしてしまうと、社内に業務内容を把握できる人材がいなくなってしまいます。アウトソーシング終了後も自社で運用や対応ができるように、社内に業務を理解している担当者を配置しておくことが重要です。管理者を任命し、業務の流れや内容を把握させることを検討しましょう。
ITアウトソーシングを効果的に活用するためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。ここでは、特に重要な注意点を紹介します。
コスト削減は重要な目標の一つですが、見積もりの安さだけで委託先を選ぶことは危険です。期待していたサービス内容と異なったり、アウトソーシング後に社内で追加の対応が必要になったりする可能性があります。複数の業者から見積もりを取り、サービス内容や実績などを比較検討することが重要です。
委託先の技術レベルや提供するサービス内容が、自社が委託したい業務内容と合致するかどうかを慎重に判断する必要があります。サービスの品質を保証する契約である「SLA(サービスレベルアグリーメント)」を締結することで、万が一の事態にも対応できる体制を整えることが望ましいです。
ITアウトソーシングは、その種類や活用方法によって、企業に様々な利点と留意点をもたらします。社内で抱える課題の解決や、ITを活用した事業の発展を目指す上で、ITアウトソーシングを戦略的に活用することは、企業活動のさらなる発展に貢献する可能性があります。
電算システムでは、長年のデータセンター運営の経験と実績に基づいた、通常の企業IT部門には得にくい専門的な知識やノウハウを提供できます。コストの最適化と業務品質の向上を目指し、専門性の高い人材、効率的な運用、最新技術に携わるスペシャリストが、各プロジェクトに対応できる体制を整えています。コンサルティングからサポートまで一貫して提供することで、企業の課題やニーズに合わせた最適なサービスを提供することが可能です。些細なことでもご遠慮なく、無料相談からお問い合わせください。