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  • BCP初動対応の重要性と
    迅速な事業継続に向けた要点を解説

    はじめに

    災害発生直後の対応である「初動対応」は、その後の事業継続の成否を大きく左右します。混乱した状況下で適切な初動対応を行うためには、事前の綿密な準備と分かりやすいマニュアル作成が不可欠です。
    本記事では、BCPにおける初動対応の概要、マニュアル作成のポイント、そして実施における重要な注意点について解説します。災害に備え、事業継続計画(BCP)の実効性を高めるための一助となれば幸いです。

    BCPにおける「初動対応」とは

    初動対応とは、災害が起こってからBCPを発動するまでの間に行うべき初期段階の対応を指します。具体的には、以下の活動が含まれます。

    ・被災状況の把握
    ・従業員の安全確認
    ・二次災害の防止
    ・社員の招集

    この初期段階での対応の質が、その後の事業復旧活動の成否を決定づけると言っても過言ではありません。しかし、災害直後は情報が錯綜し、状況把握自体が困難な場合があります。そのため、いざという時に冷静に対処できるよう、事前に十分な検討と準備が重要になります。

    BCPにおける初動対応の重要性

    BCPが効果的に機能するかどうかは、初動対応の出来にかかっています。
    例えば、従業員の安否確認が迅速に行えなければ、事業復旧にどれだけの人的資源を投入できるか判断できません。また、二次災害の防止策を怠れば、更なる被害を招く可能性があります。
    このような事態は、従業員や取引先からの信頼失墜に繋がり、復旧活動をより困難にするでしょう。様々な災害リスクを想定し、実際に災害が発生した際に落ち着いて対応できるよう、具体的な手順を記したマニュアルを作成しておく必要があります。

    初動対応マニュアルとは

    次に、初動対応マニュアルの概要と記載すべき項目について解説します。

    災害初期対応をまとめた重要な指針

    初動対応マニュアルは、安否確認といった最初の対応から、対策本部の設置といったその後の活動に必要な準備段階までを網羅した手順書です。災害発生直後の混乱期から、本格的なBCP発動へとスムーズに移行するための道筋を示すものと言えるでしょう。
    初動対応マニュアルは、事業復旧を主眼とするBCPマニュアルとは別に作成することが望ましいです。なぜなら、従業員の安全確保と被災状況の確認を主目的とする初動対応と、事業の継続・復旧を目指すBCPとでは、求められる役割が異なるためです。平常時から担当部署を分けておくことも有効でしょう。
    初動対応マニュアルの内容は、可能な限り簡潔に記述することが重要です。分厚い文書は、発災後の混乱した状況下で読み込むことが困難だからです。チェックリストのように、一目で何をすべきかが理解できる形式が理想的です。

    災害対応や対応体制などを含む記載項目

    初動対応マニュアルには、以下の項目を含めることが推奨されます。

    事前対策の活用

    平常時に準備した物資(救助用具、応急手当用品、消火器など)の所在、使用方法、災害時の活用手順などを明記します。

    インフラの代替

    電気、水道、通信などのライフラインが途絶した場合の代替手段を記載します。例えば、非常用電源の起動方法、仮設トイレの設置手順などを具体的に示します。

    情報収集

    災害の規模、自社および関連企業の被災状況、従業員の安否確認の手順を明確にします。確認の優先順位や連絡先などをチェックリスト形式で記載します。

    意思決定

    対策本部のメンバー構成、招集場所、連絡方法など、初動対応後の意思決定に必要な情報を整理します。また、どの程度の被害状況で本格的なBCPを発動するかの判断基準も明記します。

    初動対応の実施ポイント

    ここでは、効果的な初動対応を実施するための3つの重要なポイントを紹介します。

    避難場所・経路の明確化と周知

    災害発生直後、最も優先すべきは従業員や顧客の安全確保です。そのため、事前に安全な避難場所と避難経路を特定し、周知徹底しておく必要があります。
    例えば、地震の場合、建物の耐震性能が高い場合は原則として屋内待機が基本となりますが、そうでない場合は、周辺建物の状況や避難場所までの距離などを考慮して避難の判断が必要です。
    ただし、これらの判断を適切に行うためには、建物の耐震性に関する情報を事前に把握しておくことが不可欠です。企業はこれらの情報を収集し、マニュアルなどを通じて従業員に周知しておくことが重要です。

    迅速かつ的確な安否確認の実施

    避難が完了したら、速やかに従業員の安否確認を行います。災害時は通信インフラが寸断され、連絡が取りにくい状況が想定されます。電話、メール、インターネット通信など、複数の手段を用いて従業員との連絡を試み、早期に復旧活動に移行できる体制を整えることが重要です。
    その際、従業員本人の安否だけでなく、家族の状況も確認することが望ましいです。家族の安否が不明な場合、従業員は業務に集中できず、帰宅を希望する可能性が高まります。逆に、家族の安全が確認できれば、安心して復旧活動に協力してくれることが期待できます。
    また、被災場所がオフィスだけでなく店舗などの顧客対応拠点である場合は、来客の安全確認も行う必要があります。不適切な対応は企業の社会的信用を大きく損ない、復旧後の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

    帰宅困難者への適切な対応策

    大規模災害発生時には、公共交通機関が麻痺し、多くの帰宅困難者が発生することが予想されます。東日本大震災では、JRが当日中の運行を再開せず、道路が帰宅困難者で溢れ、二次的な被害が発生する危険性もありました。
    このような状況下で、企業が安易に帰宅指示を出しても、従業員が無事に帰宅できるとは限りません。そのため、企業は災害発生時に従業員の帰宅をどのように管理・コントロールするかの明確な方針を定めておく必要があります。
    例えば、どうしても帰宅を希望する従業員と、待機可能な従業員を区別し、段階的に帰宅させるなどの対策を講じることで、混乱や混雑を緩和することができます。

    まとめ

    災害に備えた適切なBCP策定のために

    初動対応は、災害発生直後の迅速な対応であり、BCPの成否を左右する極めて重要な要素です。そのため、綿密な事前対策が不可欠であり、その中心となるのが初動対応マニュアルの作成です。発災後の混乱した状況下でも、従業員が適切に行動できるよう、具体的な対応手順と判断基準を簡潔にまとめることが求められます。
    また、実際の初動対応においては、以下の3つのポイントを念頭に置くことが重要です。

    ・避難場所・経路の確保
    ・的確な安否確認
    ・帰宅困難者への対応

    これらの点を踏まえ、実効性の高いBCPを策定し、災害に備えましょう。


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