25.11.07
現代において、サイバー攻撃は特定の業種や大企業だけのリスクではありません。セキュリティ対策のリソースが限られがちな中小企業こそが、攻撃者の格好の標的となっています。ひとたびインシデントが発生すれば、企業の存続を脅かす事態に発展する可能性があります。
サイバー攻撃が企業にもたらす損害は、単なるシステム停止に留まらず、主に以下の「3つの重大なカテゴリ」に分類され、高額なコストと信用の失墜を招きます。
これは、サイバー攻撃が判明した直後から、事態収束のために直接的に発生する費用です。被害規模が大きいほど、コストは青天井で増加します。
攻撃の原因、被害範囲、侵入経路などを特定するために外部の専門業者へ依頼する費用。【事例】 ランサムウェアに感染し、サーバーと基幹システムが暗号化された場合、復旧までに数千万円以上の調査・復旧費用が発生したケースがあります。
感染したシステムやサーバーのデータ復元、セキュリティの再強化、ハードウェア交換などにかかる費用。
外部専門家による法務対応、広報、再発防止策策定などの費用。
例:ランサムウェアに感染し、サーバーと基幹システムが暗号化された場合、復旧までに数千万円以上の調査・復旧費用が発生する可能性があります。
攻撃によるシステムダウンや情報漏洩は、企業の営業活動とブランドイメージに長期的な打撃を与えます。
システム停止期間の逸失利益や、復旧後の顧客離れによる収益の減少。
インシデントの公表や報道により、顧客、取引先、社会からの信用が失墜し、長期的な経営に悪影響を及ぼします。
停止期間中に獲得できたはずのビジネスチャンスの喪失。
例:サービス停止により取引先のサプライチェーンに影響を与え、自社だけでなく関係会社からも信用を失い、既存取引の解消につながる可能性があります。
個人情報や機密情報が流出した場合、企業は法的責任を問われ、多額の賠償金を支払う義務が生じる可能性があります。
情報の流出によって被害を受けた顧客や個人に対して支払う賠償金。
訴訟対応にかかる弁護士費用や、顧客への通知・謝罪にかかる費用。
例:大量の顧客情報が漏洩した際、個人情報保護法に基づく監督官庁からの指導に加え、被害者集団から訴訟を起こされ、多額の賠償金支払い命令が下される可能性があります。
これらの重大な損害リスクを回避するためには、単一のセキュリティ対策に頼るのではなく、多層的な防御体制と、万が一発生した際の財務的な備えが必要です。
セキュリティ対策を施していても、リスクを完全にゼロにすることは不可能です。万が一のインシデント発生時、対応費用、復旧費用、賠償責任の全てを自社の資金で賄うのは極めて困難です。
高額なフォレンジック調査費用やシステム復旧費用を保険でカバー。
資金的な不安を軽減し、迅速な事業再開をサポート。
賠償金や訴訟費用をカバーし、財務的なダメージを最小限に抑えます。
特に、企業の「顔」であるWebサイトは、顧客との接点であり、機密情報を取り扱うため、常にサイバー攻撃に晒されています。Webサイトを狙う多様な脅威には、従来の境界型防御や単一のセキュリティ製品だけでは対応が不十分です。
従来のネットワークセキュリティ対策の中心であったファイアウォール(FW)やアンチウイルスソフトは、Webサイトを標的とした攻撃の多くを防ぐことができません。
FWは、主にネットワーク層(L3/L4)での通信制御や不正な通信ポートへのアクセスを遮断する役割を担います。しかし、正規のHTTP/HTTPS通信(ポート80/443)として送られてくる、Webアプリケーションの脆弱性を突く攻撃(例:SQLインジェクション、XSS)は通過させてしまいます。
アンチウイルスソフトは、サーバー内のマルウェアファイルや既知のウイルス感染を防ぎますが、Webサイトの脆弱性を悪用したサーバーへの不正アクセスやデータ窃取行為そのものを防御する機能はありません。
Webアプリケーション層(L7)を狙う攻撃は巧妙化しており、企業に深刻な被害をもたらします。
入力フォームなどから不正なSQL文を注入し、データベース内の顧客情報や機密情報を窃取する。
Webサイトに悪意のあるスクリプトを埋め込み、サイト閲覧者のブラウザ上で実行させてクッキー情報などを盗み出す。
サーバー上で不正なOSコマンドを実行させ、サーバーを乗っ取ったり、システムを破壊したりする。
大量のアクセスを特定のWebサイトに集中させ、サーバーに過負荷をかけてサービスを停止させる。ECサイトなどでは、営業機会の損失に直結します。
サイトの脆弱性を利用してコンテンツを不正に書き換え、企業の信用を傷つけたり、マルウェアの配布元として悪用したりする。
BCPが発動された後の緊急対応ステップについて、ご紹介いたします。
サイバー攻撃のリスクを完全にゼロにすることは不可能であるため、万が一の際の財務的なリスクヘッジとしてサイバー保険が重要視されています。保険に未加入の場合、上記で挙げた高額な対応費用、復旧費用、賠償責任の全てを自社の資金で賄う必要があり、特に体力のない中小企業にとっては「経営継続性の危機」に直結します。
サイバー保険は、インシデント対応の費用負担を軽減するだけでなく、提携する専門業者による初動対応サポートを受けられるなど、緊急時の対応体制の確立にも役立ちます。
総務省の『令和6年版 情報通信白書』でも、サイバーセキュリティ上の脅威が増大している現状が指摘されています。特に、普及が進む無線LANやテレワーク環境におけるセキュリティ対策の重要性が強調されており、企業は常に最新の攻撃手法やセキュリティポリシーに対応していく必要があります。
「Biz BLUE Sphere」は、株式会社電算システム(DSK-IDC)が提供する、Webサイト向けのクラウド型総合セキュリティWAFサービスです。WAF単体では防御しきれない多岐にわたるWebサイトへの脅威に対し、オールインワンの対策を提供します。
SQLインジェクション、XSSなどのWebアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃を防御します。AIエンジンによる自動型振る舞い検知を採用し、高い精度を実現しています。
大量の通信を送りつけてサービスを停止させるDDoS攻撃からWebサイトを守ります。
Webサイトのコンテンツが不正に書き換えられていないかを監視し、異常を検知します。
DNS設定に対する不正な変更も監視対象とします。
・他社製品を上回る多機能でありながら、導入のネックとなる人的費用を抑え、リーズナブルな価格帯で利用可能です。
・基本プランですべての脅威に対処する機能とサポートが含まれており、FDQN(Webサイト)ごとの課金がなく、契約プランのデータ量制限内で無制限に対応可能です。
・サイバーセキュリティ保険(三井住友海上)もサービスに標準で付随しています。
専門的なセキュリティリソースが不足している企業にとって、「Biz BLUE Sphere」はWebサイトの防御を統合的に強化し、上記で述べたサイバーリスクの発生確率と損害を軽減するための強力な選択肢となります。
本記事では、サイバー攻撃が企業にもたらす「直接的な損害」「間接的な損失」「賠償責任」という3つの重大なリスクについて、具体的な事例とともに解説しました。これらの損害は、企業の財務を圧迫し、築き上げてきた信用を一瞬にして失墜させかねません。
今日において、セキュリティ対策はコストではなく、事業を継続するために必要な投資であると考えられます。
1. 財務的な備え(サイバー保険)
2. 技術的な備え(総合セキュリティ導入)
この両輪で防御体制を構築することが、企業の存続と成長を守る最善の方法です。総務省の動向からもわかる通り、脅威は増大し続けています。自社の状況を見直し、今すぐ総合的な対策を講じましょう。