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    サーバールームの温度管理を解説!
    最適な温度と冷却方法とは?

    はじめに

    サーバーの安定稼働には、適切な温度管理が不可欠です。しかし、「サーバールームの温度は何度にすればいいのか」「冷却方法は?」など、疑問に思う方も多いでしょう。本記事では、サーバールームの最適な温度と、効果的な温度管理方法について詳しく解説します。

    サーバールームの適正温度と運用基準

    ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)のガイドラインによると、サーバールームの適正温度は18~27℃とされています。 実運用においては、機器の安定稼働と省エネを両立させるため、以下の項目を合わせて管理・最適化することが重要です。

    推奨される「湿度」の基準

    温度だけでなく、湿度の管理もサーバーの寿命に直結します。

    • 推奨湿度

      相対湿度

      40% 〜 55%(または露点温度 -9℃〜15℃)

    • 湿度が低い場合

      静電気が発生しやすくなり、電子部品が破損するリスクが高まります。
    • 湿度が高い場合

      結露が発生し、回路のショートや金属部品の腐食の原因になります。

    24℃〜27℃(高めの設定)にするメリット

    近年は省エネおよび環境負荷低減の観点から、あえて設定温度をガイドラインの上限(24〜27℃)に近づける運用が増えています。

    • 電気代の削減

      エアコンの設定温度を1℃上げると、空調消費電力を約7〜10%削減可能です。
    • 環境負荷の低減

      データセンター全体の電力使用効率(PUE)の向上に貢献します。

    実運用における注意点(ホットスポット対策)

    部屋全体の温度が27℃以下であっても、サーバーの排熱により一部だけが高温になる「ホットスポット」が発生します。

    • 吸気面の温度管理

      室温ではなく、サーバーが実際に冷気を取り込む「前面(吸気面)」の温度を基準に測定します。
    • アイルキャプショニングの導入

      冷気(コールドアイル)と暖気(ホットアイル)を物理的に遮断・分離するレイアウトが有効です。

    急激な温度変化の防止

    機器の急激な温度変化は、半導体チップの膨張・収縮を引き起こし、微細なひび割れ(クラック)による故障原因になります。

    • 変化率の制限

      1時間あたり5℃以内の緩やかな温度変化に留める運用が推奨されます。

    湿度管理の重要性

    温度だけでなく、湿度もサーバーの寿命に大きく影響します。 ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)のガイドラインに基づく湿度の管理基準は以下の通りです。

    管理項目 適正基準(推奨値) 許容範囲
    適正湿度 相対湿度 40% ~ 55%
    (または露点温度 -9℃〜15℃)
    相対湿度 20% ~ 80%

    適正範囲を外れ、湿度が「高すぎる場合」や「低すぎる場合」には、それぞれ機器の致命的な故障につながる恐れがあります。

    • 高湿度リスク(結露の発生)

      • 湿度が高すぎると、サーバー内部の精密基盤や金属部品に結露が発生します。
      • 結露は電子回路のショート(短絡)を引き起こし、機器の突然死やデータ破損、最悪の場合は漏電火災の原因になります。
      • また、長期的な高湿度はパーツの腐食やカビの発生を進行させ、ハードウェアの製品寿命を著しく縮めます。
    • 低湿度リスク(静電気の発生)

      • 湿度が低すぎると、空気や衣服の摩擦によって静電気が発生しやすくなります。
      • 人間が気づかないレベルの微弱な静電気(静電気放電)であっても、サーバー内部の極小な半導体チップやメモリを一瞬で破壊するのに十分な威力を持っています。
      • また、乾燥によって空気中のホコリが舞い上がりやすくなり、ファンや吸気口にホコリが蓄積する二次被害(排熱効率の低下)も発生します。

    実運用における湿度管理の注意点

    • 温度変化による相対湿度の変動に注意

      エアコンの温度設定を上げると、空気の飽和水蒸気量が変化するため、部屋の「相対湿度」が低下(乾燥)しやすくなります。温度と湿度は必ずセットでモニターしてください。
    • 加湿・除湿機能付き空調の選定

      一般的な家庭用・オフィス用エアコンでは精密な湿度コントロールが難しいため、サーバールーム専用の恒温恒湿空調機や、業務用の加湿器・除湿機の併用が推奨されます。

    サーバー冷却の3つの方法とラック選定

    サーバーを効率的に冷却し、システムのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、冷却方式に応じた適切なサーバーラックの選定が不可欠です。以下に代表的な3つの冷却方法と、それぞれの注意点を解説します。

    1. 空調による冷却(空気冷却方式)

    室内の冷気を利用してサーバーを冷やす、最も一般的かつ伝統的な方法です。

    • 特徴と補足

      部屋全体の空調(床下吹き出し等)や、ラック背面にファンを取り付けて排熱を促します。
    • 課題

      ブレードサーバーなどの高密度環境では、排熱が追いつかず部分的な熱だまり(ホットスポット)が生じやすいです。また、大規模になるほど空調の電力消費が膨大になります。
    • ラック選定の注意点

      前面と背面の開口率(メッシュ率)が80%以上の「マウントラック」を選び、空気の通り道を確保する必要があります。また、隙間からの暖気の回り込みを防ぐ「ブランクパネル」の設置が必須です。

    2. 水冷ヒートエクスチェンジャー(水冷方式)

    サーバーラックや各サーバー本体に直接水を循環させ、水の高い熱容量を利用して効率的に冷却する方式です。

    • 特徴と補足

      主に「リアドア型(ラックの背面扉に水冷コイルを搭載するタイプ)」や、CPUに直接受熱コンポーネントを取り付けるタイプがあります。空気冷却に比べて数十倍の冷却効率を持ちます。
    • 課題

      サーバールーム内への配管工事が必要になるほか、万が一の液漏れ(リーク)対策や保守運用の手間コストが発生します。
    • ラック選定の注意点

      水冷用の配管(マニホールド)を収めるための十分な幅と奥行き、配線・配管スペースを持つ専用ラックが必要です。また、冷却水の重量に耐えられる「耐荷重(1,000kg〜1,500kg以上)」の確認が重要になります。

    3. 液浸冷却(イマージョン冷却方式)

    サーバー全体を、電気を通さない不燃性の液体(専用のシリコンオイルやフッ素系液体)に直接ドブ漬けして冷却する最先端の方式です。

    • 特徴と補足

      液体が熱を直接奪うため冷却効率が極めて高く、ファンが不要になるため無音化・省電力化(空調電力を最大9割削減)が可能です。これにより、限界まで機材を詰め込む「高密度配置」が実現します。
    • 課題

      パーツ交換やメンテナンス時にサーバーを液体から引き上げて洗浄する必要があり、作業の手間が増えます。また、初期の導入コストが非常に高額です。
    • ラック選定の注意点

      従来の「垂直に立てる19インチラック」ではなく、上部からサーバーを抜き差しする「プール型(タンク型)の専用コンテナ・槽」を使用します。床面にかかる総重量(液体+機材)が数トンに及ぶため、床の耐荷重補強工事が必要不可欠です。

    サーバールームの温度・環境管理における運用ポイント

    適正な温度・湿度の設定や、冷却システムの導入を行った後は、それらを維持するための「日々の適切な運用」が不可欠です。機材のトラブルを防ぎ、冷却効率を最大化するための重要なポイントを解説します。

    空気の流れ(アイルキャプショニングの最適化)

    サーバーラックの排熱(暖気)と、空調からの冷気を物理的に分離することで、冷却効率を劇的に向上させます。

    • ホットアイルとコールドアイルの完全分離

      サーバーの前面(吸気面)同士を向かい合わせた「コールドアイル」と、背面(排熱面)同士を向かい合わせた「ホットアイル」を交互に配置します。
    • アイルコンテインメント方式の採用

      それぞれの通路を天井やビニールカーテン、パネル等で完全に密閉(キャプショニング)することで、冷気と暖気が混ざり合うのを防ぎ、空調の電気代をさらに削減できます。
    • ラック内の隙間対策

      サーバーをマウントしていない空きスペースには必ず「ブランクパネル」を装着し、排熱された暖気がラック前面に回り込む(ショートサーキット現象)のを防いでください。

    定期的な清掃(ホコリ・静電気対策)

    サーバールームや機器の内部に溜まるホコリは、排熱を妨げるだけでなく、致命的なショートの原因になります。

    • 排熱効率の維持

      サーバーの吸気口や背面のファンにホコリが溜まると、風量が低下して内部の温度が急上昇します。定期的にファン周辺やラック底面の清掃を行ってください。
    • トラッキング現象の防止

      ホコリが湿度を吸うと、微弱な電流が流れて火災を引き起こす「トラッキング現象」が発生する恐れがあります。特に床下の配線スペースやPDU(コンセントバー)周辺の清掃が重要です。
    • 清掃時の注意点

      サーバールーム内は静電気が発生しやすいため、一般的な掃除機ではなく、導電性のある「OA専用の防塵・静電防止掃除機」を使用し、ホコリを舞い上げないようにワイパー等で拭き取ります。

    常時監視とアラート(異常の早期検知)

    空調機の故障や局所的な熱だまりは突然発生するため、目視や手動の測定ではなく、システムによる自動監視が必須です。

    • 適切なセンサーの配置

      室内の壁面だけでなく、最も熱を持ちやすい「サーバーラックの最上段かつ背面(排熱側)」や「吸気側」など、複数のポイントに温湿度センサーを設置します。
    • 段階的なアラート(しきい値)設定

      例えば、室温が28℃に達したら「警告メール(インフラ担当者へ自動通知)」、32℃を超えたら「重大アラート(安全のためのサーバー自動シャットダウン処理を実行)」といった、段階的な運用ルールを構築しておきます。
    • 環境監視システムの導入

      ネットワーク経由で遠隔からリアルタイムの温湿度推移を確認できるログ機能付きのシステムを導入すると、季節ごとの空調の傾向把握や、将来的な増設時のキャパシティ計画に役立ちます。

    まとめ

    持続可能なサーバールーム運用のために

    サーバールームの温度・環境管理は、サーバーの寿命を延ばし、システムの安定性を確保するために非常に重要な要素です。単に部屋を冷やすだけでなく、湿度とのバランス、機材に応じた冷却方式の選定、そして日々のきめ細かな運用保守が組み合わさることで、初めて強固なインフラ基盤が実現します。

    本記事を参考に、自社のサーバー環境に合わせた最適な環境管理を行いましょう。

    今すぐ取り組むべき環境管理チェックリスト

    安全で効率的な運用のために、まずは以下の基本項目から見直してみることを推奨します。

    • ☑ 温湿度の測定位置を見直す

      壁面だけでなく、ラックの「吸気面(前面)」と「排熱面(背面)」で正しく計測できているか。
    • ☑ 空調の気流を確認する

      冷気と暖気が混ざり合っていないか、空きスロットにブランクパネルが設置されているか。
    • ☑ 清掃計画を立てる

      サーバーの吸気口や、ホコリの溜まりやすい床下配線スペースの定期清掃がスケジュール化されているか。
    • ☑ アラート運用を検証する

      空調トラブルを想定した段階的なしきい値設定と、担当者への自動通知システムが機能しているか。

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