2024.11.01
企業を取り巻くIT環境は、ますます複雑化し、多様化しています。情報漏洩のリスクや、自然災害によるデータ消失といったリスクへの対策は、企業にとって喫傾の課題です。
従来の単一のIT環境ではなく、複数のIT環境を組み合わせたハイブリッドクラウドが注目されています。ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス(自社サーバールームやデータセンター)といった異なるIT環境を柔軟に組み合わせることで、企業のニーズに合わせた最適なITインフラを構築することができます。
本記事では、ハイブリッドクラウドの導入によって得られる具体的なメリットと、同時に考慮すべきデメリットや選択のポイントについて解説します。
すべてのシステムを一箇所のインフラに依存させず、複数の環境にデータやシステムを分散・レプリケーションすることで、自然災害や大規模なサイバー攻撃など、予期せぬ事態が発生した場合でも、即座に別の環境へ切り替えて事業を継続できる強固なDR(災害復旧)体制を確立できます。
年間を通じて常に稼働する基幹システムは「オンプレミス(固定資産投資:CAPEX)」で安定して安価に運用し、一時的にリソースが必要な開発環境やバッチ処理などは「パブリッククラウド(従量課金:OPEX)」を利用するなど、業務量や特性に応じて最適なインフラを選択することで、全体のITコストを最小限に抑えられます。
季節性のあるイベントや急激なアクセス集中、突発的なビジネスの拡大など、業務量の変動に合わせて、パブリッククラウド側の膨大なリソースを迅速に拡張(スケールアウト)・縮小できます。自社の物理サーバーの限界を超えた負荷をクラウド側へ逃がす「クラウドバースト」の実現により、機会損失を防ぎます。
顧客情報や機密性の高いコアデータは外部に出さず、ガバナンスの効いた自社のオンプレミス環境で物理的に厳重管理し、フロントのWebアプリケーションや非機密性の高いデータの高速処理にはパブリッククラウドを利用するなど、データの性質に合わせて格納先を分けることで、最高水準のセキュリティレベルを維持できます。
パブリッククラウドとオンプレミスでは、アーキテクチャや操作画面、保守体系が完全に異なります。複数の環境をシームレスに連携させるためのネットワーク設計や、それらを統合的に監視・運用するための管理体制が複雑になり、社内インフラエンジニアにマルチな専門知識が要求されます。
オンプレミスの物理ハードウェアの維持費(減価償却・保守費)に加え、パブリッククラウドの月額利用料が同時に発生するため、適切なリソース管理が行われないと、初期投資や日々の運用コストが想定以上にかさみ、結果として二重投資になってしまうリスクがあります。
特定のパブリッククラウドが提供する独自のマネージドサービスやAPIに深く依存したシステム設計(アプリケーション構築)を行ってしまうと、将来的に別のクラウドやオンプレミスへシステムを再移行・切り替えることが困難になり、ベンダーの価格改定や規約変更の影響を強く受ける可能性があります。
複数の異なる環境をネットワーク(専用線やVPN)で相互連携させるため、通信の「接続点」が増え、そこが新たなセキュリティホール(脆弱性)となるリスクが生じます。また、クラウド事業者側が責任を持つ範囲と、自社で対策すべき範囲(責任分界点)が曖昧になり、パッチの適用漏れなどが発生する恐れがあります。
「法的に国内保存が義務付けられているデータ」「機密性の高い知的財産」「一時的な業務データ」など、自社が保有する情報資産を重要度ごとに棚卸し・分類し、どのデータをどの環境で管理するのがガバナンス・コストの観点で最適か、配置ルールを慎重に検討する必要があります。
「コスト削減」「復旧時間(RTO)の短縮」「新サービス開発のスピードアップ」など、ハイブリッド化によって達成したい目的を明確にし、そのゴールに最も適したインフラの比率やネットワークの構成図(グランドデザイン)を初期段階で設計します。
主要なパブリッククラウド(AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなど)は、それぞれAI分析、Windows連携、コンテナ技術など強みとする分野が異なります。自社のビジネスニーズや既存のオンプレミス環境との親和性を考慮し、複数のクラウドサービスを多角的に比較して選択する必要があります。
社内・社外という従来の境界線に基づく防御ではなく、「すべての通信を信頼しない」というゼロトラストのエッセンスを取り入れ、環境をまたぐデータ転送の暗号化、すべてのアクセスに対する厳格なアイデンティティ認証(多要素認証など)、および統合的なログ監視を徹底します。
環境ごとに運用担当者を分けるのではなく、複数の環境を一元的に監視・操作できる統合管理ツールの選定や、インフラ構築・変更作業の手順をコード化して共通化(標準化)するハイブリッドクラウド専用の運用管理体制をあらかじめ構築しておくことが、導入後の負担を減らす鍵となります。
ハイブリッドクラウドは、オンプレミスが持つ高い堅牢性・ガバナンスと、パブリッククラウドが持つ圧倒的な拡張性・スピード感をいいとこ取りし、企業のIT環境を最適化してビジネスの成長を加速させるための強力なツールです。しかし、運用の複雑化やコスト管理といったデメリットやリスクも確実に存在するため、それらを正しく理解した上で、事前のデータ分析や段階的な移行アプローチなど、慎重に導入を検討することが成功への絶対条件となります。
株式会社電算システムでは、堅牢なファシリティを誇る自社データセンター「DSK-IDC」の運用で培った豊富なオンプレミス知見と、Google Cloudをはじめとする主要パブリッククラウドの高度なインテグレーション技術を強みとしています。お客様の業務分析からデータ分類のコンサルティング、最適なハイブリッド環境の設計・構築、そして導入後の複雑なマルチ環境の一元監視・運用保守にいたるまで、インフラのライフサイクルをトータルで強力に支援いたします。ハイブリッドクラウドの選定や自社サーバールームからの移行についてご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

データ移行チェックリスト~移行前に確認すべき10の項目~
データ移行のよくある失敗と対策
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ツリー表示とサイズ表示により、容量が大きいディレクトリを階層的に掘り下げていくことで、肥大化の原因を素早く特定できます。
ファイルの作成・更新・アクセス日時からの経過時間を色の濃淡で表示し、直感的に使用状況を把握できます。
また、長期間アクセスされていない未使用ファイルをリスト化し、整理に役立てることが可能です。
ファイルの種類(所有者、拡張子、サイズ)別の使用容量を円グラフで表示します。
これにより、容量を多く占めているファイルを効率的に見つけ出し、優先的に整理することで、効果的な容量削減につながります。
| 項目 | 推奨値 |
| OS | Windows Server 2012 R2/2016/2019/2022 Windows 10/11 21H2以降 ※1 |
| CPU | 2コア以上 |
| Memory | 8GB以上 |
| Disk | 100GB以上 |
| Network | 1Gbps以上 ※2 |
※1 いずれも64ビット版のみ対応
※2 大規模データ移行を行う場合は10Gbpsを推奨
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