2024.11.22
企業の業務を支えるサーバーとネットワークは、日々多くのデータをやり取りしています。このデータの通信量を「トラフィック」と呼びます。業務のデジタル化やクラウドサービスの普及に伴い、トラフィックが増加すると、ネットワークの性能が低下し、業務に支障をきたす可能性があります。
この記事では、トラフィックの増大がもたらす影響と、それを防ぐための具体的な対策について解説します。
トラフィック(Traffic)とは、ネットワーク上を行き交う「データの通信量」や「信号の量」を指します。Webサイトへのアクセス、メールの送受信、ファイルのダウンロードだけでなく、近年主流となっているオンライン会議やクラウドストレージとの同期、基幹システムへのデータ入力など、あらゆるネットワーク通信がトラフィックを生み出します。道路の交通量に例えられることが多く、許容量(車線数)を超えると渋滞(遅延)が発生します。
トラフィックが増加するとネットワーク回線や機器の処理限界に達し、データの伝送速度が遅くなります(ネットワーク輻輳)。これにより、Webサイトの表示や社内システムへの反映が遅くなったり、ファイルのダウンロードに時間がかかるだけでなく、音声の途切れやパケットロス(データの欠落)による再送処理が発生し、実効速度がさらに低下します。
特定のキャンペーンによるアクセス集中や、マルウェアによる大量の不正通信(DDoS攻撃など)によって極端なトラフィックの増大が起きると、ルーターやファイアウォールなどのネットワーク機器が処理できる同時接続数(セッション数)の上限を超えてしまいます。その結果、機器がパケットを処理しきれずにフリーズし、ネットワーク全体のシステムダウンに繋がることがあります。
ネットワークの遅延やダウンは、企業のデータセンター内にあるサーバーやクラウド上のアプリケーションのパフォーマンス低下にも直接つながります。データベースへのアクセス要求がタイムアウトになり、受注処理や出荷管理といった基幹業務が完全にストップするなど、ビジネス全体に深刻な業務効率の低下と損失を招きます。
ネットワークの処理能力である回線の「帯域幅(パイプの太さ)」を増やすことで、根本的なトラフィック増加に対応できます。1Gbpsから10Gbpsへの回線増強や、本社とデータセンター、クラウド間を結ぶ専用線・VPN回線の増強を行います。また、業務に不要な通信(動画視聴など)を制限、あるいは業務システム通信の優先度を上げる「QoS(Quality of Service)」の設定も効果的です。
回線が太くても、中継するルーターやスイッチ、ファイアウォールが古いとそこがボトルネックになります。パケット処理能力(スループット)や同時セッション保持数が高い最新のハードウェアへリプレイスすることで、大容量のトラフィックを詰まることなくスムーズに処理できるようになります。
ネットワークの状況を常時監視し、トラフィックの増減を把握することで、問題の早期発見と対策が可能になります。単に「何bps流れているか」だけでなく、SNMPやNetFlowといった技術を用いて「誰が(どのIPが)」「何のプロトコルで(Web会議かバックアップか)」通信しているのかを細かく可視化し、異常なスパイク通信を即座に検知できる体制を整えます。
ネットワークの状態を常に監視し、パケットエラー率や機器のCPU・メモリ負荷を定期的にチェック・メンテナンスすることで、トラブルを未然に防ぎます。例えば、バックアップなどの大容量通信は夜間や休日の時間帯にスケジュールをずらすといった、ネットワーク運用の「交通整理」を実施することも重要なメンテナンスの一環です。
数ヶ月〜数年先のビジネス拡大や人員増加、新規システムの導入に備え、将来的なトラフィック増加を過去のログからデータ分析し、ネットワークの容量を計画的に増強する必要があります。また、社外向けのWebサーバーなどでは、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)を活用してトラフィックを世界中のキャッシュサーバーへ分散させ、オリジンサーバー(自社サーバー)の負荷を劇的に下げる計画も有効です。
トラフィックの増大は、企業のデータ通信速度を低下させるだけでなく、最悪の場合は業務停止を招くなど、日々のビジネスに大きな影響を与える可能性があります。そのため、現在の通信状況を正しく把握し、事前に対策を講じておくことが非常に重要です。本記事で紹介した監視や機器の強化、運用の見直しなどの対策を参考に、一度自社のネットワーク環境を見直してみてください。
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