25.02.21
「企業のためのBCP対策へのクラウド活用」第3回では、BCP対策をクラウドで行う際に抑えておきたい注意点について詳しく解説します。
クラウドを活用したBCP対策は有効な手段ですが、導入にあたって注意すべき点もいくつか存在します。
クラウドへのデータバックアップは、保存容量に応じてコストが発生します。特にBCP対策として大量のデータを保存する場合、費用がかさむ傾向にあります。
・重複排除機能の活用
・不要データの定期的な削除・整理
・データ優先順位付けと重要データ優先バックアップ
・リスク分散の重要性
BCP対策の基本はリスク分散です。
1か所へのデータ保存は、その拠点が被災した場合、事業継続が困難になる恐れがあります。
クラウドバックアップに加え、他の媒体への保存も推奨されます。
・3つのコピーを作成(オリジナル+バックアップ2つ)
・2種類以上の異なるストレージを使用(例:クラウド+物理媒体)
・1つのバックアップは遠隔地に保管
重要なデータを多拠点で管理することで、万が一の事態にも柔軟に対応できます。
BCP対策を検討する際、クラウドの活用は有効な手段の一つです。しかし、「クラウドは便利だけど、ネットワークやセキュリティが心配…」 という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、ハイブリッドクラウドという考え方です。
ハイブリッドクラウドとは、オンプレミス(自社運用)環境とクラウド環境を組み合わせたシステムのことです。
それぞれの長所を活かし、短所を補完することで、より柔軟で安全なBCP対策を実現できます。
重要なデータはオンプレミスで管理: 機密性の高いデータや、可用性が特に求められるシステムは、自社内で厳重に管理します。 それ以外のデータはクラウドへ: 比較的機密性の低いデータや、バックアップデータなどは、クラウドに分散して保管します。 コストと安全性のバランス: オンプレミスとクラウドの役割分担により、コストを抑えつつ、必要なレベルの安全性を確保できます。 緊急時の対応力向上: 災害時などには、クラウドにバックアップされたデータやシステムを活用し、事業継続を図ります。
顧客情報はオンプレミスで厳重に管理し、バックアップはクラウドに複数箇所に分散して保管する。
基幹システムはオンプレミスで運用し、クラウドには緊急時用のバックアップ環境を構築しておく。
Webサイトはクラウドで運用し、災害時には別のリージョンに切り替えることで、サービス停止を防ぐ。
クラウドを活用したBCP対策は、リスク軽減やコスト効率化、利便性の向上といった多くのメリットを提供します。
一方で、ネットワーク切断の可能性やセキュリティ面の懸念といったデメリットにも十分に注意する必要があります。
大切なデータの保護と事業継続のためには、自社に最適なBCP対策が何であるかをよく検討しましょう。